京料理と高畠ワインのマリアージュの会を尾張一宮の老舗、松亀さんにて [ワイン会]

11月24日、日本料理と日本ワインの相性の良さを実感した素晴らしいワイン会を開催させて頂きました。

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はじめに高畠でのワイン造りについての説明

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☆地域的に持つコンプレックスをいかに克服するか→雨対策

☆シャルドネのみならずデラウェア葡萄は、高畠町が生産量日本一

☆ピノブランの皮は、シャルドネより薄く病気になりやすい為、取り扱いに繊細さが求められる

などなど…説明が始まると皆様真剣に聞いて下さいました。

そしてお待ちかねのワインと京料理のマリアージュのスタートです。

☆ワイン☆
スバークリング嘉
ピノブランオーク樽熟成2012
高畠シャルドネ樽発酵ナイトハーベスト2012
月結び
ベリーズブレンド ジャパネスク2012
メルロー2011
アルカディア セレクトハーベスト 2011
(今回使用したワインは、なんと7種類。高畠ワインを代表するワインばかりをセレクトしました)

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☆お料理☆

タラの白子
柿の白和え
揚げ銀杏
カブラの柚味噌和え

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鯛と平目とマグロのお造り

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あん肝しんじょうのお吸い物

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ブリと大根の炊き合わせ

八寸
いくらと大根
鯖の紅葉おろし
子持ち鮎の炊き合わせ
小芋と鴨ロース
栗の甘煮

鯛茶漬け

******************************

会を終えて

名古屋出身の川邉、東海地区でのワイン会は、やはり特別なものとなりました。
素晴らしい京懐石と高畠ワインとのマリアージュに日本の奥深ささえ感じた貴重な体験をさせて頂きました。

この会を開催して下さった尾張一宮、ワインバーのI様、松亀のご亭主、そしてお越しいただきました皆様方
本当にありがとうございました!


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「REINE PEDAUQUE CORTON 1947を観賞する会@赤坂LEVERRE」 [ワイン会]

きょうは、川邉が素晴らしいワイン体験をさせて頂きその感想を記事にまとめましたのでブログにアップ致します。

お世話になっている方からのお招きでその方が長年温存されていたREINE PEDAUQUE CORTON 1947を観賞する会@赤坂LEVERREに加えていただきました。

お料理

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『北海道産百合根のムース、カナダ産オマール海老のジュレ』

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『フランス産鴨とフォアグラのバテ・アンクルート フランボワーズソース』

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『3種の野菜ファルシ ムスリーヌソース』『人参を纏った 鹿児島産姫鯛のルーロー ブイヤベース仕立て』
『和牛サーロイングリエ ペリグーソース』
『愛知県産無花果のコンポート 赤ワイン風味 バニラのグラス添え』

というコースで一部はフォトにあるように素晴らしいプレートでした。


そして、ワインはマグナムでしたが、ご覧のとおり経年による風合が豊か!で、ソムリエの山田氏の歯科医の手術技法のような繊細な抜栓で長年の封印が解かれました。


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先ず、香りでしたが66年の年月を感じさせないほど赤い果実がトップに被ってきまして、その後に落ち葉、レザー、腐葉土の香りに樽からくるウッディーな香りで始まり、酸化特有の醤油、シェリーなどの香りは微塵もない!と言える程のコンディションでした。それ以上の文筆的表現が専門ではないので後は技術的な示唆を記します。

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先ず酸の量と質です。現在造られている新世界のピノに比べ0.5~1.0g/㍑は高いと感じました。もしかしたら、それ以上かも知れません。そして酸の質ですが少なくともリンゴ酸が300~400ppmは残っているでしょう。1947年のころはMLFも当然のごとく自然であったし、寒いブルゴーニュの蔵では秋には起こらないので暖かくなった春に樽のなかでポツポツ起こるのですが、それもバラバラで中には起こらない樽もありブレンドで混入した可能性があります。現在の管理されたMLFでは乳酸菌の殆どがシャンパーニュのような冷涼地域やカリフォルニアのように温暖でアルコール度数の高い地域から分離され非常に醗酵能力が高く、MLFをレッドゾーンまで全開にさせて殆どのリンゴ酸を乳酸に変えてしまいます。多くの長期熟成されたワイン(ボルドーしかり他しかり!)で『いまだに香味が溌剌と生きていて熟成感がある』ワインは分析してみると酸の質のなかでリンゴ酸(L-リンゴ酸)の値が結構高く、300ppm以上残っている場合が多いようです。また、ある程度の酸を残すことでアルコールと結合してジエステルという香気成分が現れるのも理由でしょう。然しながら、良く人が誤解するようにピリピリした飲みにくい酸では無いレベルです。『熟成には酸が必須』と言いますが肝心なのは『量と質』、適度なリンゴ酸と乳酸のバランスが溌剌さとふくよかさを構成するのでしょう。

赤坂04.jpg

次に、このワインは『極めて健やかに醸された』ものである点です。乾燥酵母は第二次大戦末期に最前線で焼きたてのパンを提供するため米国陸軍の食糧研究機関で開発されたペースト状の酵母を戦後はパンのみならずビール、ワインなどに応用したことから始まり、それが50年~60年代にフリーズドライの技法が確立されてできたオプションなので、1947年といえば大戦後の爪後の残るブルゴーニュでは当然ですが自然醗酵でしょう。しかし、このワインは野生酵母特有の欠陥臭もなく、またバクテリアの絡んだ生態アミン系の特徴がありません。また、非常に清澄度も高いことから健全に醗酵が進んだものと思われます。乾燥酵母を使用しても、汚染が発生すると滓の下がりが悪くなり清澄度が低下する場合がありますが、このワインの場合にはそれが一切観られませんでした。

加えて、保存状態が極めて良い事です。『コルクを通じてワインが呼吸する』という説がありますが、あれはワインの温度に変化が生じて物理的に膨張と収縮を繰り返すことでワインの中にコルクを通じて空気が瓶の外から入るのです。しかし、良く考えてみると多くのワインファンや店舗は高額な投資でワインセラーを購入して温度の変化をほぼ皆無にしているのが事実で、その点からすると『呼吸をさせないように金をかける』のが実情です。ブドウからワインへの流れは、果皮の中で無酸素状態で果汁は保たれ⇒破砕と同時に酸素に触れ⇒醗酵期間中に酵母が酸素を消費し無酸素状態に近づき⇒醗酵終了から微量な酸素との結合が管理された状態(亜硫酸という酸化防止剤介在下)で行なわれ熟成⇒瓶に詰められてコルク打栓がなされ無酸素下で保管されるという、還元⇒酸化⇒還元⇒酸化⇒還元というスキムで状態が変化します。そして最後に抜栓されグラスに注がれるときが3回目で最後の酸化となります。また、このワインはマグナムボトルであり、保管中の空寸(ワインのないヘッドスペース)の割合が全体量に対して極めて少ない比率であることも延命に寄与したのでしょう。

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この日、偶然にもソムリエの山田氏がコレクションから『REINE PEDAUQUE CORTON 1978』と1947年ものより31年若いワインを発見し、これは750mlとサイズは半分でしたが凄く贅沢なバーティカルテイスティングに発展しました。1978年とまだ35年しか経っていないワインですが(もう頭の中の時計が桁ズレしています。)こちらは幾らかの移動があったと同時に瓶のサイズが小さかったことから、ワインの状態に少なくない酸素結合が介在したものと観ました。コルクは比較的堅かったのですが、肝心なのは瓶内のワインの膨張と収縮をほぼ皆無にすることが健全な瓶内熟成には必須と改めて痛感できた貴重な実体験でした。

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他にもっと深く言えば書きたいことは山ほどあるのですが、最後の滓の部分を皆さんで『利き滓』し自分のコメントとしては、酵母等に由来するタンパク質系の滓が皆無で、単純にタンニンが酒石とともに結合した僅かな複合析出による滓で雑味が感じられないことでした。これは、仕込み自体のフェノール抽出を高くし更に圧搾時に高い圧力で得られたプレスワインをブレンドすることで総フェノールが高いワインであること、又それ故に熟成中にワイン中のタンパクとフェノールが結合・沈殿し滓引きで綺麗に除去されていること、また充分な清澄度からして瓶詰め前に卵白処理等のコラージュが施されている可能性が高い事が挙げられます。このワインは所有者によるとネゴシアンが自社の畑から造ったワインとの事なので、技術力と管理力の乏しい当時の小規模生産者に比べて高い視点から造られた逸品であることが、ワインをピュアにして長期保存下でも暴れの少ないワインに育てたのでしょう。当然ですが濾過技術が未熟か皆無の時代ですので、『最適なコラージュに勝る濾過はない』という昔の名言を実践しているワインの一つだと思います。昨今の思い込み主体の『アンフィルター、アンファインド云々』とは全く次元が異なることは言うまでもありません。

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総括して言えることですが、『良いブドウから健やかに醸して熟成されたワイン』を『最適な条件を見究めて瓶詰め』し『温度の変化を皆無にし、最低限の移動で、無酸素状態を瓶内で実現』させることが今回の銘酒を生んだとの結論に達しました。情報が今ほど豊富ではなく、技術の開示も少なく設備もプリミティブな時代、更に世界がひっくり返った戦争終結からたったの2年目のビンテージにおいて、このようなワインを造れる技術者こそ『技師』と呼ぶに相応しいほどの国家的重要エノログだったのでしょう。以前お世話になった上司で、かつて灘の特級蔵で技術のトップを務めた故人は、『そりゃ戦前の灘で、帝国大学出の醸造技師さんゆうたら女中さん付きの家に住んでも余裕で金余るくらいの高給取りやったで!』と言っていましたが、こんなワインを当時の条件下で造れるエノログさんは凄い存在だったであろう!と思いを馳せた一夜でした。

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ナイトハーベスト2012も一緒に撮らせて頂きました!

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「神の雫」39巻 [紹介]

モーニングに掲載されている「神の雫」39巻日本ワイン編が単行本として発売されました。

神の雫.jpg

川邉は、106ページに載っております。 よろしかったら見てくださいね!

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